“メジャー級の人格”を磨く 2024年1月度座談会拝読御書「崇峻天皇御書」

創価学会では、毎月、全国各地で座談会という集いを開き、鎌倉時代の日蓮大聖人(1222年~1282年)が書き残された「御書」(論文や手紙など)を学び合います。機関誌の「大白蓮華」や「聖教新聞」には、その月に学ぶ「座談会拝読御書」を解説する記事が掲載されていますので、ここでは、信仰を持っていない方々にも理解しやすい視点から、青年部員が御書の内容を解説します。

こんにちは!1月度担当のアオトです。本年もよろしくお願いします。

アメリカ・メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手が先日、チームを移籍しました。新しいチームでのプレーに期待が高まる一方、その際の契約のことが話題になっていましたね。自分の利益より、「チームの勝利」を最優先にする姿勢に、称賛と驚きの声が上がっていました。

実は野球に全く興味のない私でも、ここで引き合いに出すくらいには、心を動かされます。

メジャーリーガー・オオタニサンにはなれなくても、人格や人間的な魅力については、自分らしく磨いていきたいものです。

今回の座談会拝読御書を通して、そのヒントを考えていきたいと思います。

拝読御書について

今月は「崇峻天皇御書」です。別名「三種財宝御書」ともいいます。日蓮大聖人が1277年(建治3年)9月に身延の地でしたためられ、鎌倉の門下・四条金吾に与えられたお手紙です。

この年の6月、大聖人の弟子と天台宗の僧が対決する法論(教義面での論争)があり、四条金吾が同席していました。大聖人の門下が勝利したのですが、それを快く思わない者が“金吾が武器を持って法論の場に乱入してきた”という事実無根の話を作り、金吾の主君である江間氏がそれを信じてしまいます。

江間氏は金吾に“法華経の信仰を捨てる起請文(誓約書)を書かなければ、領地を没収する”と迫ります。しかし、金吾は絶対に起請文は書かないと決意し、このことを大聖人に伝えました。

大聖人は、金吾の決意をたたえつつ、金吾に代わって江間氏に陳状(弁明書)をしたため、金吾の無実を指摘します。

その後、江間氏は疫病に倒れてしまいます。そこで、治療にあたることになったのは、遠ざけられていたはずの金吾でした。金吾は、医術の心得があったのです。その報告を受けた大聖人の返信が、今回学ぶ御書です。

金吾の強き信心を称賛するとともに、主君である江間氏との関わりも含め、「短気であってはならない」など、細かく戒めの言葉を送ります。人生において大切なことは、「心の財」を積むことであり、また、釈尊が世に生まれた根本目的は人としての振る舞いを示すことにあった教えられています。

今回学ぶ範囲は、まさにこの「心の財」についての部分です。

「心の財」が第一

本文

「中務三郎左衛門尉は、主の御ためにも、仏法の御ためにも、世間の心ねも、よかりけり、よかりけり」と、鎌倉の人々の口にうたわれ給え。あなかしこ、あなかしこ。蔵の財よりも身の財すぐれたり、身の財より心の財第一なり。この御文を御覧あらんよりは、心の財をつませ給うべし。

(御書新版1596ページ7行目〜10行目、御書全集1173ページ14行目〜16行目)

意味

「中務三郎左衛門尉(=四条金吾)は、主君に仕えることにおいても、仏法に尽くすことにおいても、世間における心がけにおいても、素晴らしい、素晴らしい」と、鎌倉の人々の口にうたわれていきなさい。蔵に蓄える財宝よりも身の財がすぐれ、身の財よりも心に積んだ財が第一である。この手紙をご覧になってから以後は、心の財を積んでいきなさい。

冒頭の「主の御ため」とは、金吾にとっては「仕えている主君・江間氏のため」ということです。現代でいえば「職場や会社において」ということですね。「仏法の御ため」とは、「仏法の実践において」。「世間の心ね」とは、「社会における心がけ」あるいは「縁する人たちとの交流」とも言えるでしょう。

「鎌倉の人々の口にうたわれ給え」とあるように、いずれの観点でも、人として信頼されていくことが重要であると教えられています。

御文の後半では、三種の財宝を挙げ、人生における価値基準を示されます。

「蔵の財」とは、お金や土地などの財産。
「身の財」とは、体の健康や、その人の才能、地位や身分、これまでに身につけた技術などです。
そして「心の財」とは、心の豊かさです。

「蔵の財」より「身の財」の方が優れているというのは、「健康はお金に代えがたい」といった価値観からもイメージがしやすいかと思います。

その上で「心の財」こそ、3つの中で最高の宝であることを教えられます。それを積むことが人生の根本目的であると捉えることもできるでしょう。

大事な場面こそ「心」で勝負

お手紙が送られた背景を少し振り返ってみましょう。領地を没収されるかもしれない危機的な状況から、江間氏が病に倒れ、その治療に金吾が当たることになったという、事態が大きく転換するタイミング。

金吾からすれば、主君といえど、相手は自分のことを疑い、信仰を捨てさせようとし、領土を没収すると迫ってきた人物です。江間氏を治療し、誠実を尽くすことは、大きな度量を必要としたのではないでしょうか。

そうした金吾の心情も察してか、大聖人は「短気ではならない」と事細かに指導しつつ、「人としての振る舞い」を貫いていくよう、励まされたのです。

金吾はこのお手紙をいただいた後、大聖人の仰せの通り、誠心誠意、江間氏の治療に当たります。信仰を根本にして誠実を貫く振る舞いは、金吾にとって、まさに心を磨く修行になったと言えるかもしれません。

やがて快復した江間氏から信頼を得て、金吾は新たな領地を与えられます。領地を没収される危機を迎えていた時には考えられないような展開です。

信仰を貫いて「心の財」を積んだことで、「蔵の財」「身の財」も自然と引き寄せられてきたのです。

希望と勇気を燃やし挑戦を

「要するに、人間、内面が大事ってことでしょ?」と、結論づけてしまうのは早計かもしれません。「人として誠実に振る舞うこと」は、世間で大切と言われる価値観ですが、もし、すべての人が、それを貫いているのであれば、社会は穏やかで、世界はもっと平和なはず。

人間が生きる上で「蔵の財」「身の財」はどちらも大切ですが、どれだけの大金も、使えばいつかはなくなってしまうし、災害などで財産を一瞬で失うようなことだってあります。また、どれだけ健康な人も、いつかは老いていき、病にもかかります。そうした“移ろいやすいもの”に、どうしても左右されてしまうのが人間なのでしょう。

だからこそ、御文では「心の財第一なり」と強調されています。たとえ、「蔵の財」や「身の財」を失ったとしても、心の豊かさや強さがあれば、何が起ころうとも幸福な自分を築くことができるのです。そして心が豊かで強いことで、今の自分自身のもつ「身の財」や「蔵の財」を価値的に生かしていけるのだと思います。

話は変わって、TikTokやInstagramで活躍中のモデル・葦原海(あしはらみゅう)さんは、16歳の時に事故で両脚を失ってから、車いす生活の様子をSNSで発信しています。彼女は「健常者と障がい者の間にある壁を壊したい」と笑顔で語り、“両脚を失ったことで自分の果たすべき役目を見つけられた”と言います。(「聖教新聞」2023年7月2日付)

普通に考えればマイナスな要素も、すべてプラスに転じている葦原さんは、まさに豊かな心を持った人だと思いました。

池田先生は指導されています。
「人間の本当の幸福は、蔵や身の財によって決まるのではない。心の豊かさ、強さによって決まるのだ。どんな逆境にあろうが、常に心が希望と勇気に燃え、挑戦の気概が脈打っているならば、その生命には、歓喜と躍動と充実がある。そこに幸福の実像があるのだ」(『新・人間革命』第22巻「命宝」の章)

最高・最強の心を持てる人、それこそ〝メジャー級の人格〟を目指して、信仰を根本に誠実な振る舞いに努めるのが学会員の生き方なのです。


今回の御書解説動画Gカレ! 2024年1月度座談会拝読御書「崇峻天皇御書」 もぜひご覧ください!

御書のページ数は、創価学会発行の『日蓮大聖人御書全集 新版』(御書新版)、『日蓮大聖人御書全集』(御書全集)のものです。

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