ポジティブな言葉を 2024年5月度座談会拝読御書「妙密上人御消息」

創価学会では、毎月、全国各地で座談会という集いを開き、鎌倉時代の日蓮大聖人(1222年~1282年)が書き残された「御書」(論文や手紙など)を学び合います。機関誌の「大白蓮華」や「聖教新聞」には、その月に学ぶ「座談会拝読御書」を解説する記事が掲載されていますので、ここでは、信仰を持っていない方々にも理解しやすい視点から、青年部員が御書の内容を解説します。

どこかへお出かけしたくなる季節になりました!

旅行、ピクニック、バーベキュー…。特別なイベントがあると心が躍りますよね。(花粉症が落ち着いてくる時期なので、私にとって、切実に、本当に、うれしい季節なんです泣)

時には怒濤ともいえる日々の生活を頑張っているからこそ、そうした特別なイベントは、ごほうびのようなものです。

というのも私の日常は、相変わらず育児真っ盛り!子どもの言葉を覚える早さに驚かされる毎日だからです。

しかしながら、親の話す言葉をそのまま覚えてしまうので、気をつけなければいけません。

子どものためにも“良い言葉”をどんどん使っていきたい。そう感じている日々です。たとえば、まずは妻と子どもに「ありがとう」と感謝を伝えることから。

感謝の気持ちを、まずは言葉にしていく――小さなことだけど、これって、結構、大事なことだと思うんです。

今回の拝読御書「妙密上人御消息」から「ポジティブな言葉の大切さ」を学んでいきましょう!

拝読御書について

妙密上人御消息は1276年(建治2年)閏3月、日蓮大聖人が55歳の時に身延で著され、妙密上人に送られたお手紙です。

妙密上人について詳しいことは明らかではありませんが、大聖人が「上人」と呼ばれていることから、信仰心が強い門下であったと考えられます。

お手紙の内容から、妙密上人夫妻は信仰に励み、折あるごとに大聖人にご供養の品を届けてきたことがうかがえます。

大聖人は、すべての人々を救う最高の教えである法華経を尊崇し、南無妙法蓮華経の題目を弘めてこられた存在です。よって、ご供養を通して大聖人を守り支えることは、法華経を供養し、世に題目を弘めるという大きな功徳(注)に等しいものです。

(注)功徳[くどく]
すばらしい性質、特に人々に利益[りやく]を与えるすばらしい性質のこと。また功徳を生む因となる善行をいう場合がある。南無妙法蓮華経には無限の功徳がそなわっているが、根本であり究極の功徳は成仏、すなわち揺るぎない幸福境涯の確立である。

大聖人が、妙密上人夫妻の志を讃嘆されているのがこのお手紙です。

 「たたえる」と功徳が増す

本文

金はやけばいよいよ色まさり、剣はとげばいよいよ利くなる。法華経の功徳は、ほむればいよいよ功徳まさる。二十八品は正しきことはわずかなり、讃むる言こそ多く候えと思しめすべし。

(御書新版1713ページ1行目~2行目・御書全集1241ページ18行目~1242ページ2行目)

意味

金は焼けばいよいよ色が良くなり、剣は研げばいよいよ良く切れるようになる。(同じように)法華経の功徳をたたえれば、ますます功徳は勝っていく。(法華経)28品は、法理の真髄を説くところは、わずかであるが、讃える言葉こそ多くあることを、心得ていきなさい。

金が輝きを増し、剣がより鋭くなる。この二つの例えを日蓮大聖人は、「功徳が勝る」ことに重ねられています。金がより美しく輝くには、不純物を取り除く精錬が必要であり、剣がより切れ味を増すには、鋭利にするための研ぐ作業が欠かせません。

同じように、法華経の功徳がますます豊かになるのは、その功徳そのものを「たたえる」からであると、大聖人は教えられています。

最高の教えである法華経は「二十八品」からなります。その二十八品全体を見ても、深遠な法理の真髄を説明する部分はほんのわずかしかなく、大部分が仏や法華経そのものを讃嘆する言葉で満ちていると、大聖人は仰せです。

こうした点を踏まえれば、創価学会員が毎日行う勤行――法華経の中で大切な方便品・寿量品の一部を読むこと――は、「法華経の功徳をたたえる」=功徳をますます増やしていく実践を行っていることになります。

そもそも鎌倉時代の当時、大聖人と弟子たちの一門は、社会的に見れば少数であり、権力からの迫害さえ受けている状況でした。そうした中で「この教えは素晴らしい」と確信をもち、信仰に励む姿は、妙法への深い信仰心の表れであり、「法華経の功徳をたたえる」振る舞いと言えるのではないでしょうか。

妙密上人夫妻が大聖人にご供養を届けたこともそうです。ゆえに大聖人は、このお手紙の別の箇所で、「妙密上人夫妻の功徳は、大海の露を集めたようなものであり、須弥山という山の塵を積んだようなものです」(趣意、御書新版1712ページ・御書全集1241ページ)と讃嘆されているのです。

また「法華経の功徳をたたえる」というのは、信仰で感じられた喜びや学びを語ること、そして信仰に励む仲間を尊敬し、その頑張りを称賛することも相当するでしょう。

純真な心の振る舞いが、信仰の要なのです。

黙っていては、わからない 

私たちの社会生活に照らしてみても、家庭や職場で「ポジティブな言葉の大切さ」を実感する人は多いのではないでしょうか。

最初に書いた通り、私は、どんなに細かいことでも「ありがとう」と妻に言うように心がけています。そして、その感謝の気持ちを行動に変えて、家事にも仕事にも取り組むようにしています。

そのおかげか、ありがたくも家庭の雰囲気はいい感じです。(家事スキルが期待に応えられず注意されることは、もちろんあります…)

何より自分自身が、妻や職場の人から「ありがとう」と言われればうれしいですし、ますますやる気が湧きます!

当たり前のことでも、まずは言葉にして伝えていくことで、ちゃんと心に届きますよね。それが前向きな言葉なら、言うほうも言われたほうも、ますます前向きになれます。

池田先生は次のように教えています。
「感謝も称讃も、『黙っていては、わからない』」
「私たちは、人をたたえ、人を奮い立たせる『名人』になりたい」
(『池田大作全集』第88巻)

一つ一つ、心を丁寧に言葉に変えていくことは、自分の思いが整理されて毎日が充実します。そしてポジティブな言葉は、まわりに潤いを与えていきます。

ぜひ今日も、自分から、ポジティブな声掛けを!

御書のページ数は、創価学会発行の『日蓮大聖人御書全集 新版』(御書新版)、『日蓮大聖人御書全集』(御書全集)のものです。

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