すべてを変える「祈りのパワー」 2025年6月度座談会拝読御書「日眼女造立釈迦仏供養事」

創価学会では、毎月、全国各地で座談会という集いを開き、鎌倉時代の日蓮大聖人(1222年~1282年)が書き残された「御書」(論文や手紙など)を学び合います。機関誌の「大白蓮華」や「聖教新聞」には、その月に学ぶ「座談会拝読御書」を解説する記事が掲載されていますので、ここでは、信仰を持っていない方々にも理解しやすい視点から、青年部員が御書の内容を解説します。

6月といえば梅雨。
暑くじめじめとした日も多く、気分がどんよりしがちな時期です。

一方で、世界的に見ても雨が多く降る日本では、古くから雨とともに暮らすなど身近なものでもあり、一説には雨の呼び方だけで、400語以上あるとも言われています。

雨の降る時期や降り方によってついている、いろいろな名前を知っていると、何となく憂鬱に思っていた雨の景色も、楽しく見られるかもしれません。

さて、今回の拝読御書は「日眼女造立釈迦仏供養事」。
憂鬱な状況を明るく切り開いていく祈りのパワーについて学んでいきましょう。

拝読御書について

1279年(弘安2年)に、日蓮大聖人が身延の地から鎌倉の門下である四条金吾の妻・日眼女に与えられたお手紙です。

この年、日眼女は厄年の37歳に当たっており、大聖人に真心の御供養を行いました。大聖人は、その信心をたたえて、御守りの御本尊を授与され、厄年の用心といっても、その根本はどこまでも深い信心にたつことであると仰せになっています。

続いて、諸仏・菩薩、諸天善神などの根本の仏を動かす強き祈りがあれば、万物を揺り動かしていけることを教えられています。

また、念仏者が多かった世の中で、妙法を持つ女性は女性の中の第一の存在であると励まされています。

自分が変われば環境も変わる

本文

譬えば、頭をふればかみゆるぐ。心はたらけば身うごく。大風吹けば草木しずかならず。大地うごけば大海さわがし。教主釈尊をうごかし奉れば、ゆるがぬ草木やあるべき、さわがぬ水やあるべき。

(御書新版1610㌻4行目~5行目・御書全集1187㌻6行目~8行目)

意味

たとえば、頭を振れば、髪が揺れる。心が働けば、身体が動く。大風が吹けば、草木も揺れる。大地が動けば、大海も荒れる。同じように、教主釈尊(御本尊)を動かせば、揺るがない草木があるだろうか、騒がない水があるだろうか。

頭と髪、心と身体、大風と草木、大地と大海の譬えは、物事の根本を動かせばその物事を大きく動かしていけることを示されています。

そして、あらゆる菩薩や神々の根幹である教主釈尊を動かせば、どんな状況をも変えていくことができると教えてくださっています。

ここで言われている「教主釈尊」とは、あらゆる仏を成仏させた根本の法である南無妙法蓮華経と一体の仏を意味します。

この仏の生命である南無妙法蓮華経を、日蓮大聖人が御本尊として顕されたのです。ですので、御本尊を信じて真剣に祈ることが、“教主釈尊を動かす”ことになります。

では、もう一歩踏み込んで考えてみるとどうでしょうか。

“教主釈尊を動かす”とは、ずばり、自分自身の奥底にある「一念を変える」ことではないでしょうか。「心根を変える」と言ってもいいかもしれません。

「一念」とは、瞬間瞬間の生命・心のことです。仏法では、あらゆる物事や現象が、この一念に具わっていて、自分自身の一念を変えていくことで自身を取り巻く環境も変えていけると説いています。

人の心は移ろいやすいものです。大変な状況の時には、「よし、頑張ろう」となかなか思えず、その状況・環境に流されてしまいがちです。

そんなとき、創価学会の信仰をしている人は御本尊に祈ることで、自分自身の一念を変えていくことができます。

漠然とした不安を抱えて、目の前の課題になかなか踏み込めないときも、祈っていくなかで悩みや苦しみを見つめ直すことができ、挑戦しよう、一歩を踏み出そうという気持ちに、やがては、必ずなんとかしてみせるという決意に変わっていきます。

その自分の一念の変化に応じるように、自分を取り巻く環境も大きく変わっていくのです。

自分を変える「祈り」

今の時代はさまざまな情報があふれ、変化も激しく、ともすれば環境に振り回されやすい時代といえるかもしれません。

必ずしも思い描いた環境で過ごすことができるわけではなく、また、順風満帆な時ばかりでもないでしょう。

その中で大切なことは、漠然と周囲の状況に流されるのではなく、目標に向かって心を定め、目の前の課題に真正面から挑戦することです。そうすれば、苦難さえも成長のバネと捉えられたりするものです。

だから、創価学会では「祈り」を大切にします。

祈りとは、心根を変える挑戦です。

池田先生は、次のように言われています。

「私たちの祈りとは、何かに助けてもらうというような、“おすがり信仰”ではありません。どこまでも自分自身の可能性を信じ抜く戦いです」(『わが愛する青年に贈る』)

「私たちの祈りとは、悩みや苦しみと真正面から向き合う力にほかなりません」(『世界広布新時代の指針』)

「祈りが心に満ち満ちているところ、いかなる臆病も、あきらめも、弱音も、入り込む隙などありません。
 祈りとは、『必ず成し遂げる!』という信念です。
 『絶対に負けない!』という確信です。
 自分には無理だという不信の壁を打ち破り、『断じて戦い勝つ!』という究極の勇気なのです」(『わが「共戦の友」――各部の皆さんに贈る』)

今の自分自身と向き合い、挑戦の一歩を踏み出していけるのが、「祈りのパワー」です。

どんな状況でも必ず切り開いていけるという信念、確信、勇気を心に湧かせて、挑戦の一日一日にしていきましょう!

御書のページ数は、創価学会発行の『日蓮大聖人御書全集 新版』(御書新版)、『日蓮大聖人御書全集』(御書全集)のものです。

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