地元の「みこし」を担いでみた件

地域のお祭り再開と“助っ人”の誘い

「お祭りの『みこし』を担げたりするかな?」

創価学会の地元組織の知人から、こんなお願いの連絡が入りました。

「え? みこしってあの、ワッショイワッショイやるやつのことですか?」

「そう。実はね・・・」

コロナ禍で中止となっていた地元のお祭りが、4年ぶりに開催することになりました。

しかし、担ぎ手の高齢化や、ここ数年はコロナ禍でお祭り自体が開かれなかったこともあり、以前ほど担ぎ手が集まらなくなってしまった。どうしたものかと頭を抱えた町会から、地元の創価学会のその人に相談があったというのです。

お祭りは、土曜日と日曜日の2日間。それぞれ10人ずつ計20名ほどの〝助っ人〟が必要とのこと。

二つ返事で参加を決意

お祭りが再開することを聞いていた私は、また賑やかな光景が見られるなぁと完全に人ごとだったのですが、まさか、参加の依頼が来るとは思ってもいませんでした。

ですが、普段はなかなか交流のない地域の方々と知り合えるチャンスだと思い、私は二つ返事で引き受けました。ちょうど、自分が住む地域のために何かできないかと考えていたからです。

お祭り開催の10日前には助っ人メンバーもほぼ決まり、お祭りの関係者と初の顔合わせ。ご厚意で貸していただく鯉口シャツなどの衣装合わせも行ってもらい、準備万端です。

地域の方々の真心に感動

私は2日目に参加しました。初日に参加した創価学会員の友人の話を聞くと、「凄く盛り上がったよ。地域の人たちともたくさんお話しできてよかった! みこしの重さは想像以上だったね(笑)」とのこと。

私は最後に言われた「みこしの重さ」に戦々恐々としながら衣装に着替えました。

袖を通すと、洗剤のほのかな香りが。初日にメンバーが着た衣装の洗濯・乾燥を、町会の方が夜遅くまでやってくださったそうです。

「貴重品は持ち歩いてくださいね」と言われましたが、衣装にポケットはなく、財布やスマホをどうしようかと思った瞬間、「これをお使いください」と粋な巾着袋を渡されました。

町会の婦人部長が、浴衣生地を使って徹夜で10人分縫い上げてくださったとのこと。何から何まで至れり尽くせり。町会の方々の真心に本当に感動しました。

準備万端で表に出て、各所にご挨拶回りに行くと、「ありがとうね! 暑いからしっかり水分取ってね。よろしく!」と温かく声をかけていただきました。

熱狂の渦に飲み込まれた初みこし

いよいよ、みこしが道の真ん中に置かれ、担ぎ手が集まりました。

いざ始まると、そこからは怒濤でした。

見よう見まねで肩を入れ、大きく揺れるみこしに体を合わせようとするも、ガツンガツンと肩にぶつかってくる。確かに想像以上です。

最初は声を出す余裕さえありませんでしたが、時間が経つにつれ、周りの人と連帯感が湧いてきます。気がつけば「オイサッ! オイサッ!」と掛け声を叫んでいました。

吹き出る汗の不快感や、肩の激しい痛みも、次第にお祭りの熱狂の渦に飲み込まれる中で忘れていきました。担ぎ手の掛け声が心地よく頭に響き、揺れるみこしのリズムに自分も合わせていくと、なんとも言えない高揚感に包まれます。これが日本のお祭りというものなのかと、30歳を超えて初めて体感しました。

14時過ぎから始まりましたが、気がつけば、とっぷりと日が暮れていました。

町会や「お祭りの会」の方々は、私たちの参加を心から喜んでくださったようです。

「初めてなのに頑張ってくれたね」「創価学会の若い人たちが担いでくれて本当に助かった」「最後までおみこしが賑やかでよかった」等々、数え切れないくらいの声をかけてもらいました。創価学会は、ともすれば、全く接点のない人から見たら、よく分からない団体のように思われることがあるかもしれません。しかし、創価学会といっても、慣れないみこしに必死に食らいつく、私たち一人ひとりのことなのだと、地域の人にもよく分かってもらえたように思います。

地域と調和する「随方毘尼」の教え

かつて創価学会の中では、お祭りに積極的に参加することは日蓮仏法の信仰に背くことになるのではないかと考え、みこしを担ぐことなどを控える人もいました。

しかし仏法では、「随方毘尼」と言って、仏法の根本の法理に違わないかぎり、各国・各地域の風俗や習慣、時代の風習を尊重し、随うべきであると説いています。

また日蓮大聖人が「謗法と申すは違背の義なり」(御書新版6ページ、御書全集4ページ)と仰せのように、謗法とは正法に背き、反対することを指します。

そのため、「御本尊への信心」があれば、地域行事であるお祭りなどに参加することは何ら問題がありません。さらにいえば、「自他共の幸福」を目指す仏法者として、自らが住む地域のために何かの役に立ちたいという思いは、むしろ大切にすべきことだと思います。

仕事や家庭などで精一杯な20代や30代の男性が、地域の活動に参加するハードルはとてつもなく高いものがあります。でも、創価学会で活動する中で、こうしてみこしを担ぐ機会に巡り合い、地域の皆さんに喜んでもらえて本当に良かったと実感します。

地域と社会の繁栄のため、積極的に行動するという創価学会の信仰で学んだ仏法哲理を、これからも実践していきたいです。

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