〝自己効力感〟を高める方法

「自己効力感(=セルフエフィカシー)」は、新しいことへの挑戦を支える〝うまくやり遂げられそうだ〟という期待感のことを指します。スタンフォード大学の教授を務めた心理学者のアルバート・バンデューラ博士によって名付けられました。

よく似ている言葉に「自己肯定感」がありますが、これは「ありのままの自分を肯定する感覚」で、できてもできなくても自分自身を受け入れることを指します。

実はこの2つの言葉、〝Z世代〟を読み解くキーワードとして、多くの記事やコラムで取り上げられています。それらを見てみると、「Z世代=自己肯定感は高いが、自己効力感は低い」という捉え方があるようです。

文科省の学習指導要領が改訂され、「個性」「自分らしさ」「多様性」が重視される教育を受けてきたから、自己肯定感は高い。一方、「失敗を恐れる」「他人からの評価が気になる」傾向が強いことが関係し、自己効力感は低い――など、さまざまな理由が語られています。

もちろん、Z世代をひとくくりにして、自己効力感が低いと言ってしまうのは少々乱暴ですし、他の世代にとっても、自己効力感を高めていくのは大切なことですよね。

どうすれば、「自己効力感」が上がるのか。バンデューラ博士は「自己効力感」を生み出す源を4つ挙げています。

①実際に成功を体験して「やればできる」感覚を強める
②うまくいっている人を観察して「自分にもできそう」といった感覚を得る
③自他からの励ましや説明で「やればできる」という感覚を得る
④自分の体調や気分を意識して「できる」感覚につなげる

この4つを見て、私にとって自己効力感の源は、創価学会の活動であることに気がつきました。

どういうことか、一つ一つ見ていきたいと思います。

① 実際に成功を体験して「やればできる」感覚を強める

私たち創価学会員は、勤行(法華経の一部を読誦すること)・唱題(「南無妙法蓮華経」の題目を唱えること)や教学の研さん、会合への参加など、日々の信仰活動を通して、悩みや困難を乗り越えていきます。

合い言葉は「決めて、祈って、動いて、勝つ!」です。

まず目の前の課題に対し、「こうしよう!」と目標を〝決めて〟、「必ずこうする!」と〝祈って〟モチベーションをあげ、また祈りの中で、具体的に「どうすればいいか」と考えます。そして解決へ〝動いて〟、克服する=〝勝利〟をつかみます。

朝が苦手だった私は、「朝、必ず◯◯時に起きる!」と祈っていました。

そして、題目を唱えながら、

「そのために、夜は◯時までに寝よう」

「目覚ましは◯分おきにかけて、1回ずつ音を変えてみよう」

「次の日の着替えを枕元に置いてみよう」

「夜、次の日のスケジュールを確認しよう」

など、具体的な対策を考え、行動に移しました。これを繰り返すうちに、寝坊しなくなりました。

些細なことであったとしても、こうして決めて、祈って、動いたら、勝てた! という実感が、自信に繋がり、次なる挑戦の弾みになってきました。

② うまくいっている人を観察して「自分にもできそう」といった感覚を得る

前述した「決めて」~「勝つ!」までの間には、私の挑戦を支え、見守ってくださっている創価学会の仲間がたくさんいました。

創価学会の特色はなんといっても「座談会」です。「座談会」は月に一度、同じ地域に住む人たちで行われる小単位の集いです。

そこでは、なんでもない世間話から、「病気を克服することができた」とか「仕事の苦境を乗り越えることができた」など、赤裸々な信仰による「体験」もシェアされます。

一方で、まだ悩みの渦中にあるメンバーも、「今こういうことが大変だけど、がんばります!」と、苦境をありのままに吐露しながら、それでも前に進もうと、力強く決意を表明することもあります。

私自身これまで、こうしたさまざまな境遇の中で、どんな時も、祈り、前を向く〝うまくいっている人〟の姿に、たくさんの勇気をいただいてきました。

③ 自他からの励ましや説明で「やればできる」という感覚を得る

創価学会は〝励ましの団体〟です。

信仰への揺るぎない確信を持つメンバーは、自分がどんな状況であろうとも、「人のため」の行動をやめません。それは、自分の幸福と相手の幸福は、切っても切り離せない関係にある、との仏法の考え方を抱きしめているからです。

以前お会いした、ある北海道の女性部の方は、末期がんを患いながら、〝がんは私の武器〟と、同じくがんと闘う70人以上の学会員さんやその家族を励まし続けました。

私が日頃からお世話になっている女性部のAさんもその一人です。

息子さんが希少がんを患っていたAさんは、知り合いをたどって、北海道のその方とお話しすることができたそうです。後日、Aさんにお会いすると、「何度も何度も〝大丈夫よ!〟って励ましてくださって」と、語らいの様子を教えてくださいました。

母の祈りに支えられ、息子さんは、抗がん剤と放射線による治療を乗り越えることができました。現在、がんは経過観察中ですが、体調は良好。男子部のリーダーとして活躍しながら、一度は病に阻まれた「教師」という夢に向かって、再び歩み始めています。

このように、創価学会の〝励まし〟は、励ます側も、苦境の渦中にあることが少なくありません。だからこそ、相手の心に響く。〝私にもやればできる〟という勇気や共感につながるのだと思います。

④ 自分の体調や気分を意識して「できる」感覚につなげる

体調が悪い日はしっかり休むのが大事なのは言うまでもありません。でも、休んでいるだけで気分が前向きになるとは限りません。

創価学会の最も基本的な実践は、朝と晩に行う勤行・唱題です。日蓮大聖人は、「苦しい時は苦しいまま、楽しい時は楽しいまま、苦楽どちらもありのままに見つめて題目を唱えていきなさい」(御書新版1554ページ、御書全集1143ページ、趣旨)と言われています。

仏法では、自分自身を深く見つめることを「観心」と言いますが、創価学会員は、祈りながらとことん自分の心と向き合っていきます。

うまくいっている時もそうでない時も、元気な時も少し落ち込んでいる時も、祈りを重ねて自分を見つめる中で、自然と今の自分が進むべき道が見え、「できる」感覚につながっていくのです。

「自己効力感」の概念を知り、日々の活動を通して自然と自己効力感を高められていることに気がつき、改めて〝創価学会員でよかった〟と感じています。

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