活動家の夫を持つ、妻の独り言 「産後って非常事態なんですよ」
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夫は、第三子で初めて1カ月の育休を取得した。わたしが出産時に2リットル近く出血して極度の貧血状態に陥っていたので、鉄分豊富&栄養満点の朝ご飯・昼ご飯・夕ご飯を作り、上二人の園の送り迎えをし、夜間授乳(ミルク)も交代してくれた。
わたしはその一つ一つに、心から感謝している。二人目の産後が悲惨すぎて、「この恨み、一生、忘れない」と心の奥深くに刻んでいたが、「この感謝も、一生、忘れない」と、今では思っている。
1カ月間にわたり、2~3時間おきの夜間授乳を体験した夫は、ぼそっとつぶやいた。
「おれはこれまで、大罪を犯していたのかもしれない……」。
やっと気が付いたようだ。こんなことも言っていた。
「就寝したら一瞬で朝になる感覚だったけど、夜間授乳をしていると、夜がめちゃくちゃ長く感じる。それに、疲れがまったく取れない」と。
この言葉を聞いて、わたしはほんの少しだけ報われた思いがした。
恐怖のLINE
わが家の第二子は、「THE・寝ない子」だった。その片鱗を見せ始めたのは、生後3カ月過ぎ。第一子が第二子の存在を受け入れ始め、激しすぎる赤ちゃん返りがやっと落ち着いてきたころだった。
1~1時間半ごとに起きる日があったり、長く寝ても3時間だったり。「これも今だけ、今だけ」と呪文を唱えるように自分に言い聞かせていた。少しずつ、ほんとうに少しずつ起きる回数は減っていったが、夜通し寝るようになったのは3歳を過ぎてから。日数にすると、生後1221日目になる。
この間、夜泣きが激しいときもあった。抱っこをしても授乳をしても泣き止まない。わたしの心身が限界だと判断した夫は、夜泣き対応を交代しようと試みた。しかし、である。日ごろ、関わっていない夫を第二子が受け入れるわけもなく、火に油を注いだだけで、玉砕して終わった……。
夫は第二子が生まれる少し前に新しい役職に就き、連日、家庭訪問や会合などに駆け回っていた。忙しい中でも、何とかして家庭の時間を捻出しようと頑張っていることは重々分かっていた。いただいた使命を思う存分、果たしてほしいとも思っていた。
けれど、「寝たいのに寝られない」という一種の拷問のような日々と産後のホルモンバランスの急激な変化は、人格も理性も一瞬で吹き飛ばすほど、人をおかしくさせる。
夫が「会合に行く」と言えば、何時に帰ってくるのか詰め寄り、「もう無理」「早く帰ってきて! うんぬんかんぬん……」と恐怖のLINEを送り付けていた。夫は何度、戦慄したことだろう。それらのLINEをまとめたとしたら、「戦慄! 産後の妻が鬼になるまで」という実録エッセイができるかもしれない。
スープに泣いた夜
顔も心も鬼になりつつあったわたしだが、激甘&晴れやかな表情になるときもあった。激甘になるのは、わが子たちがケラケラ、ニコニコ笑っている瞬間。子どもの笑顔というのは、いつだって、わたしを幸せにしてくれる。
そして、晴れやかな表情になるのは、創価学会女性部のS先輩と会っているときだった。先輩は4人の子育て中の地区女性部長(わたしとは違う地区・支部)で、結婚を機に引っ越し、地域に知り合いがほとんどいないわたしを、常に気にかけてくれた。
「ベビー服はここが安いよ」「あそこの小児科の先生は予防接種が上手、こっちの小児科の先生は病状の説明がめちゃくちゃ丁寧」など、子育てに役立つ情報もたくさん教えてくれた。
夫の帰りが遅い日は夕ご飯に呼んでくれ、ワンオペの土日は子どもを連れて公園で一緒に遊んでくれた。「たくさん作ったから、おすそ分け」とスープを家まで届けてくれたこともある。そのスープが温かくて、おいしくて……。涙がこぼれてきた。このときほど、学会の温かさを感じたことはない。
先輩は、わたしが「これがしんどい、あれが嫌だ」と気弱な話をしても否定せず、ひたすら耳を傾けてくれる。わたしが悩むことはすでに経験済にもかかわらず、乗り越えた"高見"からではなく、同じ目線に立ち、「しんどいよね」と共感してくれる。「わたしは今、これに悩んでいてね」と自らの葛藤もさらけ出してくれる。
妊娠中からずっと見守り続けてくれ、子どもたちの誕生日や七五三など節目節目を一緒に祝ってくれた先輩。先輩を通して、"人を励まし続けるとは、こういうことなのか!"と、心底学んだ。「乳幼児期って、ほんとうに大変だから。大きくなったらなったで、またいろいろ大変なんだけどね」とにこやかに語り、学会員であろうとなかろうと周囲に励ましを送る姿は、わたしの目標だ。
しんどさと喜びのバランス
子育ては、最高に楽しく、最高にクリエイティブな営みだと思う。すべての瞬間が幸福や喜びに満ちていればいいけれど、産後のわたしのようにしんどさが勝ってしまうときもある。しんどさと喜びのバランスは、頼れる実家や義実家の有無、経済力といった親を取り巻く環境、寝る寝ない・体が強い弱いといった子どもの体質や気質などによって変わってくる。
子育ての方針や家事・育児分担の最適解も、家庭によって違う。自分の基準で考えるのではなく、お互いの環境や状況に思いをはせながら、励まし合っていきたいなと思う。
家庭を気遣う一言
そして、できれば、こうした声かけや励ましを、パパ同士でも、もっと増やしていってほしい。「パートナーの体調は大丈夫か、眠れているのか、子どもは元気なのか」等々、聞けることはたくさんある。状況によっては「会合は無理しなくていいよ」「いまは家庭を最優先で」と後押しすることもできる。後輩であればなおさら、自分からは言い出しにくいのではないだろうか。
産後はもちろん、子育て中は、女性だけでなく男性も気を張り詰めながら、ぎりぎりのところで踏ん張っている。そんなとき、家庭を気遣う一言をもらうだけで、救われる人はいるはずだ。
2050年へ向けて
学会創立120周年を迎える2050年。いま11歳の子は35歳、6歳の子は30歳、1歳の子は25歳と、バリバリの青年世代になっている。日本社会では少子高齢化が進み、人口の約37%が高齢者になるそうだ(内閣府)。
2050年の創価学会がどうなっているのか、それは誰にも分からない。けれど、いまの子どもたちや若い世代を励ますことが未来の創価学会の礎になることは間違いない。
わたし自身、子育て中の一当事者として、子どもたちに信心のこと、先生のこと、学会のことをしっかり伝えていかなければいけないと、日々、感じている。そのためにも、まずは真剣な勤行・唱題で生命力をわき立たせ、地区の活動に積極的に取り組んでいこう。小さな一歩が、未来の創価学会につながっていくはずだから。
