試練の時代に希望を打ち立てる文化の力 ~創価ルネサンスバンガードの高崎マーチングフェスティバル出動報告~

華やかなステージの裏には、必ず〝陰の戦い〟があります。

そんな実感を強くする素晴らしいイベントが、群馬県高崎市で開かれました。

今年で33回目を迎えた 「高崎マーチングフェスティバル」。私たち創価ルネサンスバンガードも2022年10月16日(日)に出演し、イベントの大トリ(最終演者)を務めました。

同フェスティバルは、高崎市制90周年を記念して1990年にスタート。JR高崎駅前の大通りを交通規制して行われる「パレード」や、高崎アリーナに約5000人が詰めかける「フロアドリル」など、文字通り、街を挙げての一大音楽祭です。

驚くべきことに、この巨大イベントの企画や運営を担われているのは、多くの市民ボランティアの皆さんです。地元の学会員さんも多くの方が協力されていました。誰も気付かないような場所で大会を支えてくださった方もおり、感謝の思いでいっぱいになりました。

観客の皆さんの温かな応援も印象的でした。パレード後は、沿道にいた多くの方々から「ありがとう!」「勇気をもらった」と声をかけていただきました。アリーナではすべての団体の演奏演技にスタンディングオベーションが起こっていました。

もちろん、私たちを含め、出演者の皆さんは、コロナ禍の困難な状況の中で大変な思いをして練習を重ねてきたことと思います。

出演者、観客、運営役員。それぞれが言い知れぬ苦労をしながら、互いを思いやり、感謝しあい、「励ましの心」が重なりあったからこそ、大きな感動が巻き起こったのだと思います。

高崎マーチングフェスティバル協会 本木毅理事長は、聖教新聞(2022年10月19日付)に声を寄せてくださいました。

音楽隊の皆さまには長年、イベントを盛り上げていただいています。見事な演奏・演技はもちろんのこと、とても感動するのは、観客に見えないところでの所作です
あいさつの仕方から楽器の並べ方に至るまで、きっちりされています。そうした心がけがあるからこそ、技術と相まって、素晴らしいパフォーマンスができるのだと確信しています

陰の労苦を知るからこその着眼点であり、こうした評価をいただけたことに胸を熱くいたしました。

「音楽がある街」の原点

高崎市は「音楽のある街・高崎」とのキャッチコピーを掲げ、毎年、多くのコンサートや文化イベントを開催していますが、その伝統の出発点は、終戦直後にまでさかのぼります。

1945年に「音楽で日本の復興を図ろう」との強い思いで「高崎市民オーケストラ」、のちの「群馬交響楽団」が結成。今なお「群響」の愛称で親しまれている同楽団ですが、その変遷は波瀾万丈で、かつては財政難や団員減少など、解散の危機に陥ったこともあったそうです。

それでも、素晴らしい音楽に目を輝かせる子どもたちや、不自由な体で大きな拍手を送る人々の姿を大きな心の支えとして、群響は音楽活動を広げていきます。

こうした取り組みが徐々に評価を高め、1955年には、群響をモデルに制作された映画『ここに泉あり』が公開。その翌年、群馬県は文部省(現在の文部科学省)より、全国初の「音楽モデル県」に指定され、〝音楽の街〟の土台が築かれたのです。

池田先生は、小説『新・人間革命』「緑野」の章に、群響の歩みについて詳しく綴られています。

「毎日が正念場である。毎日が背水の陣である。
一回一回の公演が存亡をかけた勝負であった。生き延びるか、滅び去るか──そこでは、執念こそが活路を開くのだ。“負けるものか。挫けるものか ”と、突き進むなかに栄光はあるのだ。
困難なき成功はない。大いなる労苦が、大いなる歓喜を生むのだ」
「音楽は人間と人間の心を結ぶ、世界の共通語です。人間主義の哲学を根本に、平和の心を、歓喜の共鳴音を広げていってください」
(出典:小説『新・人間革命』 第17巻)

文化といっても、何か自然発生的に広がるものではない。数々の試練と困難の中から、不屈の努力と挑戦によって、初めて花開くものであるということを、改めて学ばせていただきました。

感謝が原動力

創価ルネサンスバンガードは、2022年12月11日に開催された、マーチングバンド全国大会において、通算17度目となるグランプリ・内閣総理大臣賞を受賞することができました。

約7分半のショーを完成させるまでに、一人一人のプレーヤーが想像を絶する挑戦を繰り返してきました。仕事の苦境、難関の資格試験への挑戦など、立ちはだかる壁をすべて乗り越え、それでも前に進むことができたのは、私たちの演奏演技に希望を託し、全力で応援してくださる多くの皆さまの支えがあったからです。その感謝の思いが、前進の原動力になりました。

池田大作先生は、音楽隊に送られた指針の中で、次のように綴られました。

「躍動のリズムのあるところ、明るい希望が輝く。
美しき旋律のあるところ、生きる喜びが湧く。
妙なるハーモニーのあるところ、平和の共鳴が広がる。
音楽には、国土・社会を変え、時代を動かし、未来をよりよく創りゆくエネルギーが秘められているのだ。」
(出典:2015年5月11日付 聖教新聞「音楽隊ありて創価の凱歌あり」より)

困難な時代にあっても、否、困難な時代だからこそ、試練を超えて、希望を創造する文化の力は、一層、輝きを増すことと思います。

その大切な使命を胸に、創価ルネサンスバンガードは、明年もまた、希望の凱歌を轟かせていきます。

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