どろんこノート①~戸田旅館に泊まって

2022年〇月×日のこと。

広めの和室に敷かれた布団。年季の入った木製の柱。時計は夜中の12時を回った。相変わらず、僕は仕事をしている。いつものと違うのは、そう。ここは北海道の石狩市。旧厚田村だ。せっかく旅行に行くのならと、戸田旅館を選んだ。

小説『人間革命』『新・人間革命』に登場する舞台。聖教新聞の北海道版を読み、まだ戸田先生の親戚にあたる方が経営されていると知って足を運んだ。和室には池田先生寄贈の鶴のはく製などが置かれていた。

深夜2時。仕事が進まない。厚田海岸にでも出てみようかと思う。いや、真っ暗闇で怖い。宿泊した部屋は、襖をあければ旅館で一番大きなスペースになる。ということは――。スマホで聖教オンラインを開き、「厚田村」と検索しながら、心ははるか数十年前に飛んだ。

和室に立ち上る湯気。ぐつぐつと響く音。戸田先生と池田先生は、ここで石狩鍋をつつかれた。さっき僕が、夜ご飯を食べた場所なのかも。鍋を囲み、先生はどう振舞われたんだろう。戸田先生はお酒がお好きだ。先生は飲まれたのかな。想像が膨らむほど、どこか師弟の関係に親近感を覚えた。

池田先生は、もちろん僕にとっての師匠だ。でも、遠い存在にはしたくないと思って学会活動をしてきた。スーパーマンのように捉えたら、自分の可能性を狭めてしまうし、後輩の男子部員には、一緒に山本伸一のように頑張ろうと励ましてきた。

歴史上にあった出来事を自分に近しい生活感に落とし込んだ時、身近になる。心の距離はなくなる。師匠をいつも隣に感じて、仕事も活動もしたいと思っている。

何年か前、聖教新聞に講道館柔道を創始した嘉納治五郎の言葉が載っていた。師弟に関する言葉が心に刺さって残している。

「師に対する言語挙動は師の眼前に在ると否とに拘わらず、礼にかなったものでなければならぬ」(『嘉納治五郎著作集1巻』五月書房)

 戸田旅館では、両先生の笑い声が聞こえた気がした。一緒に楽しく、真剣に広布に生き抜きたいと思った。
 翌朝、厚田海岸へ。池田先生が世界広布への誓いを立てられた場所。久しぶりに眺めた海は、美しく壮大だった。
 (次回は、東京・大森。「大田ふるさとの浜辺公園」です)

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