どろんこノート③~大阪へ いざや前進!

2022年〇月×日のこと。

45分間。東海道新幹線が東京駅を出発してから富士山が見えるまでの時間だ。西日本へ向かう時、必ず見たい。この日もその山容に励まされた。決まって思い出すのは喜びに震えた2007年。池田先生の関西指導。新幹線からは富士山の写真を撮られた。

大阪城を見上げて

駅で待ち合わせをして仏法の話をした夜。尊敬する先輩と広布を語らい、桃パフェを食べた夕暮れ。愛すべき関西のおばちゃんたちに励まされた日々――僕の五体には関西魂がみなぎっている。

新大阪駅で降りた。大阪弁が飛び交う構内。最高だ。そして――。大阪城のほど近くへ。この辺りに大勢の同志が集う日が来る。「関西池田記念大講堂」の建設が発表された。

男子部の僕でさえ、こんなにもうれしい。草創期からの人生を師匠と生きてきた先輩方の喜びは計り知れない。どれほどの労苦を重ね、今の関西があるんだろう。「大阪事件」の悔し涙はもちろん、幾多の試練を越えての常勝関西だ。

学会の建物には、精神がある。心がある。

例えば、東京・八王子市の「東京牧口記念会館」。完成した1993年は、殉教された牧口先生の50回忌だった。池田先生はこの殿堂に世界の識者を招き、「牧口会長は、不当な権力と最後まで闘い抜き、わずか三畳の冷たい独房で亡くなりました。ゆえに、壮大な記念会館で、牧口会長の威徳を顕彰したい――この精神で建立した」と語られた。

大阪の戦いから70周年の佳節に完成する関西池田記念大講堂。そこに込められた精神や心をいつも感じて進む自分でありたいと思いつつ、大阪城を見上げた。

師弟の絆を強めたい

新聞で読んだ、印象に残っている大阪のおばあちゃんがいる。大工の亡き夫が、貧乏を越えて、家を建ててくれた。そして貯金箱にこつこつとお金を貯めた。そのお金で、二人で椅子を探し回った。池田先生が、この会場に来られた時に座っていただこう、と。何年たっても、その椅子を大切にされていた。

師弟は自発的な意思だと思う。物理的な触れ合いや距離なんて関係ない。胸中の出会いを重ねる人にとって、人生を生きる上ですごく大きな力になるんだと思う。こうして一対一で結ばれた絆の結晶。僕も大講堂の完成に向け、もっともっと絆を強めていきたい。「いざや前進 恐れなく」

あふれる思い出に浸って東京へ。新幹線が発車した。夜は富士山が見えないから寂しい。

日本画の巨匠・横山大観といえば、富士山で有名だ。「富士を描くということは、つまり己れを描くことである。己れが貧しければ、そこに描かれた富士も貧しい」(『横山大観展』大塚巧藝社)と語っている。
横山大観ほどの画家にも、恩師である岡倉天心の姿がいつもあったそう。「私の全生活の中には、今なお先生の愛が生きている」(『日本人の自伝19』平凡社)という言葉も胸に響いてくる。

(次回は八王子の創価大学です)

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