父親が育児参加するといろんなスキルが爆上がりしちゃう説―学会活動との共通点―
近年、男性の育児休業取得を推進するための政策が着実に進んでいます。
〇 2022年4月 企業が育休などの制度を従業員に周知することが義務化
〇 2022年10月 「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設
〇 2023年4月 育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務化
(1,000人超の企業に限る)
現在は、政府の「次元の異なる少子化対策」との指標のもと、育休中の手取り額を維持する育児休業給付の拡充など、男性育休促進への環境づくりが議論されています。
父親の育児参加を促進する制度設計や環境の整備は必要ですが、それ以上に重要なのは、「父親の意識変革」です。
かくいう私も、第1子が生まれてすぐは、少し子どもと関わっても、結局は妻に頼らざるを得ないという無力感から、「育児の主役は母親」という考えを持っていた父親の一人でした。
今回は、自分自身の経験を通して感じた、父親が育児参加によって得られるスキルをご紹介したいと思います。
言うまでもなく、育児の根本は「子どもへの無償の愛」です。そこに見返りを求めること自体が間違っているというご意見もあるでしょう。
しかし、まだまだ「育児は母親がするもの」「父親は働いて家族を養う役割」と考えているパパが多いことも事実。
母親任せの育児になってしまっているパパ、仕事と家庭に挟まれ疲れ切っているパパにも、仕事をしながら育児する価値について考え、前向きに育児に関わるきっかけになれば幸いです。
① マルチタスクに対応する力が身に付く!
育児・家事は、とにかくいろんなことが同時並行で怒涛のように進みます。
特に我が家は3姉妹なので、長女の宿題を見ながら、次女にせがまれ絵本を読む、トイレに行きたいけど怖いという三女をトイレに連れていくなど、3人同時に押し寄せる要望に応えるだけでも一苦労。その中で、料理や洗濯、掃除など、家事をこなすのは至難の業です。
先を読んで、今やるべきことは何かを見定めて行動することが、どうしても必要になります。
仕事の中でも、マルチタスクに対応することが求められるシーンがあると思います。
私も仕事でいろいろなことを任されても、優先順位を定め、先手で取り組めるようになったのは、育児経験のおかげだと感じています。
そして、育児・家事で鍛えられた能力を生かして、仕事を効率よく進められれば、家族と過ごす時間が増えるという好循環にもなります。
② 発想が大きく広がる!
子どもの想像力・創造力は無限大です。それは大人の発想をはるかに超え、考えもしなかったような世界を見せてくれます。
年齢を重ねれば重ねるほど、思考は固定化されていくもの。その中で、子どもと過ごす時間は自分の凝り固まった発想をブレイクスルーできる機会になっていると感じています。
AI(人工知能)が発達する未来においては、世の中の大半の仕事はAIに奪われるというようなことも言われていますが、子どもの持つみずみずしい発想力と創造力は、AI時代においても、何ものにも代えがたいのではないでしょうか。
③ 部下のマネジメント能力向上にもつながる!?
子どもが泣いている時、そこには必ず理由があります。
眠いのか、おなかがすいているのか、構ってほしいのかー。子どもが泣いている時に、親が感情的に怒りをぶつけても状況は改善しません。
なぜ泣いているのか、子どもの立場になって想像して、声をかけ、対応する。こうした相手の立場に立ったコミュニケーションは、マネジメントの基本ともなるものです。
①で紹介した「マルチタスクへの対応」にも、相手の立場に立った行動が大切です。
私も仕事や学会活動で遅くなり、子どもが寝ている時間に帰宅した時は、どうすれば朝起きた時、家族が気持ちよく一日をスタートできるかと考えるようになり、リビングに散乱したおもちゃを夜の間に片付けておくようにしています。
これで朝から子どもがおもちゃで遊んで出発時間に迫られることも、妻が朝の準備に走り回る中、ブロックを踏んで悲鳴をあげることも少なくなります。
男性の育児参加、最も大きなメリットは・・・
以上3点、私が感じた男性が育児参加で得られるスキルを書きましたが、最大のメリットは育児をすればするほどに、「妻への感謝が溢れてくる」ことです。
育児・家事という、これだけの大偉業を、時には一人でやりきっていると思うと頭が上がりません。
「名もなき家事」という言葉がある通り、育児・家事にはやってみないとわからない苦労がたくさんあります。
妻への感謝があれば、かける言葉も変わります。男性の育児参加は間違いなく、夫婦円満に寄与し、大きな安心感の中で仕事に励むことができることにもつながります。
さらに海外では、父親と多く時間を過ごした子どもは自尊心が高まる、IQが高くなる、言語能力が高まるなどの研究結果もあるそうです。
そして、育児期間は子どもの日々の成長を間近に見ることができるかけがえのない時間でもあります。
仕事も多忙な中で育児もせねばと義務感が先行すると、家庭の中にもギスギス感が増すばかり。育児に取り組む価値を再認識し、父親がポジティブに育児参加することが平和な家庭を築くと感じます。
男性の育児参加と学会活動の共通点
① マルチタスクに対応する力が身に付く!
② 発想が大きく広がる!
③ 部下のマネジメント能力向上にもつながる!?
この3点のスキル向上は、私たちが日々取り組んでいる「学会活動」にも共通するものがあると思っています。
仕事も、家庭もある中で、同志のために、友のために、時間をこじあけ、励ましに走る。
老若男女、職業も、生きてきた環境も異なる人との交わりで、新たな視点が開かれる。
人を励まそうと悩み、祈る中で、相手の幸福を願って行動できる自分になる。
育児にせよ、学会活動にせよ、自己犠牲では長続きしません。
私も、そこに自分自身の成長、キャパシティーの拡大(学会で言うところの「境涯革命」)があるからこそ、喜びを持って取り組むことができています。
育児も学会活動も、どうせやるなら多くのパパたちに、その価値を最大限に謳歌してもらいたいと願っています。