変化の中でも変わらないことーー音楽隊の挑戦

コロナ禍で音楽・芸術運動への制限が余儀なくされ、演奏の形態やコンクールの様式も変化が求められる中にあって、形は変われど、音楽を奏でられる感動や、演奏を届けられる喜びは、何一つ変わっていません。さらに私たち創価学会音楽隊には、変えてはならないと強く思っていることがあります。

“伝統”の送迎演奏

2022年10月、創価グロリア吹奏楽団が、巣鴨にある創価学会東京戸田記念講堂で行われた「全国男子部幹部会」に出演しました。

感染拡大防止の観点から、創価学会内では対面での演奏を控えてきたので、創価グロリア吹奏楽団がこの場所で生演奏を披露したのは2年9カ月ぶり。会合参加者との間には、透明アクリルボードを置くなど、以前からは一工夫、加えた中での演奏でした。

会合の終了後には、音楽隊が大切にしている“伝統”の送迎演奏を行いました。“最後の一人が退場されるまで、希望の演奏を”との思いで長年行ってきたもので、久しぶりのこの送迎演奏に対して、ありがたいことに「音楽隊の一人を大切にしようとする優しさが心に染みた」「会合本編と全く変わらず全力で演奏する姿に胸を打たれた」などの声が寄せられました。

コロナ禍が始まってから2年半余り。さまざまな変化が連続する中にあって、変えてはならないものがあると改めて実感した瞬間でした。

音楽隊の不変の原点

その“変えてはいけないもの”を見つめる上で、音楽隊の原点を振り返ってみたいと思います。

1954年(昭和29年)5月9日は、音楽隊が初めて出動した日です。結成されたのは同月6日、出動からわずか3日前のことでした。

隊員はたったの十数人で、楽器は借り物。しかも、初出動当日は、あいにくの雨。

「悪条件にひるんだら負けだ。悪条件だからこそ、成功すれば、歴史に輝く壮挙になる!」との決意で、草創の音楽隊の先輩は、青年部の室長だった池田大作先生の渾身の指揮に合わせて、ずぶぬれになりながらも楽器を奏でました。その必死の姿こそが、同志を鼓舞したのです。

池田先生は、私たち音楽隊に次のように呼びかけてくださっています。

「虚栄や、技術や、才能を超越して、清純にして、怒涛をも打ちくだく情熱と、信心のほとばしる音律こそ、大衆の心を打たずにはおかない」「幾千万の、地涌の菩薩の士気を鼓舞し、苦しい同志に、悩める同志に、希望を与え、勇気を与える、音楽隊の使命を、全うしていただきたい」(「音楽隊訓」)

  

“どんな逆境にも立ち向かう”不動の原点と、師匠の音楽隊に対する期待と真心に応えたいという思い――。その変わらぬ魂を胸にたぎらせ、一音一音に全力を尽くす。それこそが音楽隊にとって、絶対に“変えてはならないもの”であり、“創価の楽雄”の使命だと確信しています。

芸術・文化の秋が今年も巡り来ました。吹奏楽やマーチングなどの各種コンクールが行われるこの季節は 、音楽隊の“勝負の秋”でもあります。時代がいかに移ろうと、どれだけ演奏技術を磨こうとも変わらぬ、目の前の一人の心を揺さぶる励ましの音色を、秋空高く響かせていきます。

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