発達障がい(ADHD)グレーゾーンの〝僕〟であるからして  ▶忘れる〜ロケットえんぴつ式メモリー〜ほか

〝僕〟の日常はデコボコな出来事であふれている。
思い返すたび、自分でも〝何やってんの?〟とツッコみたくなることばかり。

どんな景色が見えているのか。前シリーズの「〝僕〟といたしましては」に続いて、つづる機会をいただいた。驚きと、ありがたさと、少しの戸惑いと……その割に、構想の段階で〝シッパイがいっぱいコレクション〟なんて、どこかしらから苦情が入りそうなタイトルを想起し、言うに事欠いてそれを書かずにいられないことにも、あきれている次第だ──。

○●○●○●○●○●○

ロケットえんぴつ式メモリー

とにかく忘れてしまう。メモをしても、時にその事実もろとも。

文字がダメなら音や振動でと、スマホのリマインド機能にお世話になろうとした。でもToDoが増えた時に別のことをしていると、1、2分で〝リマインドをセットする〟という手順そのものを忘れてしまう。いいところで思い出しても、別の情報と混じっていることもある。

こうした積み重ねが、学会活動でも大きな〝やらかし〟を生む。
会合の日程をその当日に連絡した挙句、服装の注意を誤り、スーツで参加する予定だった後輩を私服で行かせてしまったこともあった。

「ザルった」なんてよく言うが、〝僕〟のザルには隙間どころか、真ん中に塞ぎようのない大穴が空いているような感じ。

ただ、何かの拍子でヒョイっと記憶が戻ってくることもある。タイミングは気まぐれで、必要な時に出てくる保障はないけど。抜け落ちているというよりかは、記憶がうしろに押しやられてしまっている感じ。

例えるなら、そう、ロケットえんぴつだ。

芯を使いきったら古いものをうしろに挿して、新しい芯を出す懐かしい文房具。あの作業は、子ども心をくすぐる。芯がまだ残っていても、すぐに差し替えてよく遊んだものだ。

この〝ロケットえんぴつ式メモリー〟によって、頭の中でToDoはループする。
少しでも必要な時に、必要なToDoを取り出す確率を上げる方法を模索した。
結論は、人に話しかけること。「なんかあるんだよね〜」と、とりとめもなく切りだしてみる。
理解してくれる同志は、待ってくれた。

ふと懐かしさから、〝ロケットえんぴつ〟をネットで検索した。
商品の改良によって、現在は芯で本当にロケットがつくれるブロック型のものが出回っていることを知った。ちょっと負けた気がした。

MajiでWasuれる5秒前

独居の出かけ際は、本当に油断ならない。人に頼る術がないのだから。
敵は忘れ物。特にゴミ出しが鬼門だ。

戦いは前日から始まる。
キャパシティに達したパンパンのゴミ袋を結び、玄関にセット。

翌朝。
布団を片し、勤行からモーニングルーティンをクリアしていく。

電車の時間が迫る中、身支度もひと通り整い、靴をはいて出る以外に残るは2行程。
①家の鍵を持つ
②ゴミ袋を手に取る
魔物はここに住む。

手順をイメージし、玄関へ向かう。
「カチャ」
鍵を手にしたら、〝次の手順を忘れない〟。
「……ガチャ」
靴を履き、家のドアを閉めている。手元にゴミ袋はない。

手順①と②のインターバルはわずか5秒足らず。
だが、〝次の手順を忘れないことを忘れない〟という行程が、②に移る瞬間、脳内に介入し、当初の「ゴミ袋を手に取る」をスルーする結果に。乗る予定だった電車も同時にスルーだ。

これが魔物の正体。〝Maji(マジ)でWasu(忘)れる5秒前〟である。
ゴミ出しなど、毎日はやらない習慣の中でよく遭遇する。

いつからか、自分の生きづらさに名前を付けてみるようになった。
おかげで少し、日頃のドタバタを笑えるようになったし、やらかしそうなシチュエーションを客観的に捉えられるようにもなった気がする。

〝僕〟が集めた〝ポケモン図鑑〟のようなデコボコ話に、また少しお付き合いいただけたなら幸いである。

この記事のtag

#体験談 #グレーゾーン

おすすめ記事